「天災と人災」
2004.10.25

 昔から、「申年」は天変地変が多い年と言われてきましたが、何と今年は十回も台風が上陸して甚大な被害をもたらしました。
 追い打ちをかけるように、今度は「新潟中越地震」で尊い人命や貴重な財産が失われました。被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げますと共に、一日も早い復旧をお祈り致します。

 それにしても、度重なる災害は、ただ単に偶然であり運が悪かったとすまされるでしょうか。
 たしかに、台風や地震を防ぐことは出来ませんが、災害を未然に防ぎ、被害を最小限にくい止める努力は出来ないはずはありません。
 特に最近の異常気象は、「地球がおかしい!」温暖化や酸性雨は、オゾン層の破壊や大気汚染に無関係ではないことは誰もが気づいていることです。
 また、日本の国土の七割は山間部である為、地滑りや土砂災害が起こりやすい土地柄ですが、森林の管理を怠っていないでしょうか。山を切り開いての宅地造成や、ダム工事・道路工事が生態系に影響を与えていないでしょうか。

 数年前、私達の町、富士宮市外神地区で富士山の雪解け水が、民家の床下や庭先から溢れ出し、大変困ったことがありました。
 良く調べてみますと、昔から家が建っている場所は、高台で地盤も固く湧き水は見られませんでした。
 昔の人達は、災害の起きやすい危険な所には家を建てなかったのです。
 私達は、もっと先人の意見や実体験に耳を傾けるべきではないでしょうか。

 「机上の論議」と言われ、その土地を知らない人達が「都市計画」で、その土地利用を決めてしまうようなことはなかったでしょうか。
 土地は私有財産として認められていますが、自分の土地だからと言って、自分勝手な土地利用をしても良いのでしょうか。
 特に、河川の上流部が集中豪雨に見舞われると、必ず下流部に影響が出るのです。
 こう考えますと、森林や土地は、人々の安全を守る公共の利益のためには、個人の権利にも一定の限度があっても良いと思いますが、いかがでしょうか。

 世界の先住民の人々は、「土地を個人が所有する」という思想はありません。
 「宇宙の法則と自然の摂理」に従って、人間も自然の一部であって、住まわせてもらうという謙虚な姿勢で大自然に対峙します。
 山川草木はもちろん、動物や昆虫に至るまで、自然界には無駄なものはなく、すべてが補完し合い、支え合って生きていると考えているのです。
 「万物の霊長」として、人間だけが自分たちの都合で、自然た生態系を変えてしまうことを反省しないと、災害どころか、地球そのものが滅んでしまうのではないでしょうか。

秋鹿  博