小さな自治システム「地球大家族構想」
2005.04.18

 公共事業の見直しが叫ばれて久しいが、これは公共事業のすべてが悪いのではなく、財政が厳しくなったため、今まで余り議論されてこなかった「投資効果や維持管理」等の成果やコストを考えるようになったのであって、民間では当たり前のことである。

 行革も同じであり、税収が減り、事業が少なくなっているのだから、今までの惰性では許されなくなっている。予算の中で経常的経費の占める割合が高くなり、特に人件費の比率が財政を圧迫している。

 この行政改革が叫ばれると、いつものパターンで出先機関の見直しから始まるのが不思議でならない。何故なら、出先は市民生活に直結している部分で、違う言い方をすれば現場である。これを「末端」と考えるか、「先端」と考えるかによって、180度対応が違ってくると思う。

 出先を減らす不便(デメリット)と効果(メリット)を考えればデメリットが多くて、得策とは言えない。むしろ、出先を充実して本庁の職員を計画的に減らす方が、血と心の通った「徳策」と考えるがどうだろうか。

 視点を変えると、高齢化社会になって退職者のボランティアなど自治意識の高い市民社会が形成されつつある。
 自治会によっては、青少年問題から民生や環境問題、最近では防災・防犯に至るまで、多種・多様な活動を実にうまくこなしている。
 これは、そこの住民が中心であるから、すべての問題を同時に取り組み解決することが出来る。

これに対し、行政はたて割りの為、その役人の立場でしか話さず、住民の気持ちは二の次になってしまう。

 今、一番大切なのは、地域住民が運命共同体として、かつての「向う三軒両隣り」のような地域の帰属意識を持った新しい自治システムが求められている。
 たとえ市町村合併が進んでも、「大きいことはいいことだ」ではなく、むしろ小さな顔の見える直接民主主義的な組織づくりである。

 これが私の提唱している小学校区を単位とした(地域によってはそれ以下の方が良い)「地域大家族構想」である。
 理想的には、小学校の一角に公民館を兼ねた地域コミュニティセンターがあり、地域福祉・地域防災などの機能が備わった拠点があることが望ましい。
 しかし、新しく建設する必要はなく、現在の建物(空教室や区民館など)を利活用すれば良い。
 この地域コミュニティセンターをNPO法人化して、住民の数などで計算された市よりの交付金によって運営する。
 このようなシステムを構築した上で、市議会議員の役割と定数を見直すというならばわかる。

 いずれにせよ、納税者の立場と、そこに住む市民が主体である、行財政改革でなければならないと思う。

                                  秋鹿 博