「平成16年度の静岡県観光協会の定時総会」
2004.5.26

 初夏の風がさわやかな5月26日、東静岡駅前のグランシップ11階において、平成16年度の静岡県観光協会の定時総会が開催されました。
 私は、富士宮市観光協会を代表して毎年参加していますが、いつものように形式的で、何の議論もなくシャンシャンと拍手をして、進行して行くことに何か物足りなさを感じていました。
 静岡県と言えば、富士山・伊豆・奧大井、そして浜名湖と自然の宝庫であるばかりでなく、400年余り前に、徳川家康が宿駅制度をつくると、弥次さん、喜多さんで有名な東海道膝栗毛など、京都から江戸まで人々が往来して、時代をかけ抜け、歴史の舞台となりました。
 そんなわけで、観光立県として全国で5本の指に入り、年間1億2000万人の観光入込客を受け入れています。
 ところが、この10年大きな異変が起きて、観光立県・静岡も安穏してはいられない状態が続いています。
 例えば、温泉と言えば伊豆、伊豆と言えば温泉でしたが、今や全国どこへ行っても温泉ブームで、伊豆が特別ではなくなってしまいました。
 かつて、県内入込客の半分、6000万人を受け入れていた温泉地伊豆は、今や4000万人を切ってしまったのです。
 これは、伊豆の温泉場の人達が努力をしていないのではなく、人々の観光ニーズが変わってしまったのです。しかも、男性中心の物見遊山な旅行から、女性やシルバーの人々など、体を癒し、心からゆったりくつろげる空間を求めたり、地域の眠っている歴史や文化を訪ねる体験的な学び等々、より人間らしく余暇を楽しむ生活文化型に変わってきました。
 
 正に、時代はニーズだと思います。
 
 冒頭、形式的で物足りないと私が言ったのは、このような時代の変化や人々のニーズに充分な議論をされているのだろうか、という不満と不信があるからです。
 それもそのはずです。県の観光協会ともなると、県の役職員、市町村の首長、地域の観光協会の会長、そして、大きな観光産業(ホテル・旅館・交通機関)の社長さんばかりで、ほとんどシニア・シルバーの方々です。
 私自身感じることは、その方々の意見だけですべて決定・進行していくというのではなく、より現場で活躍している人達の、「生の声・実態」に合った方針や施策が必要で、観光産業の体質改善が急がれていると思います。
 温泉について言えば、今はどこでも温泉が出るのです。その理由は、何メートル掘るかによるわけで、1000Mでも2000Mでも掘削する技術があるからです。
 その証拠には、富士山の麓では温泉は出ないというタブーを見事、時之栖の庄司さんが挑戦して、「花の湯」という温泉施設が富士宮にオープンしています。
 県の観光協会のことばかりを指摘するのではなく、次回は富士宮市の観光を分析したレポートを出しますのでお楽しみに!